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2009年5月2日土曜日

「湘南発無添加ハム製造販売と乳酸菌の秘密」 --- 株式会社湘南ぴゅあ --- - Infomation Blog | LOHAS WORLD

「湘南発無添加ハム製造販売と乳酸菌の秘密」
in LOHAS WORLD
--- 株式会社湘南ぴゅあ ---

中国から黄砂吹き荒れる4月後半、小田急線の厚木から3駅目の'伊勢原'まで湘南ぴゅあさんを訪ねていきました。普通スーパーで安く売ってるハムやソーセージは添加物だらけですが、湘南ぴゅあでは20年 程前から養豚をしながらずっと無添加ハム・ソーセージを作り続けています。
「豚の臭いがまったくしませんから」と事前に聞いていましたが 'そんなことあるのぉ?'と半信半疑で平塚市までうかがいました。
湘南ぴゅあ外観。
ぶた、だからピンクなのでしょうか? 左が吉田取締役部長、右が音成社長

行ってびっくり '匂わない'。 肉が旨いx 2 !
伺ってみてびっくり。豚がたくさん畜舎にいるのに特有の臭いがまったくありません。
どういうことなのか?ランチにおいしいその豚肉、のみならずスペインから直輸入を始めた 超高級イベリコ豚のハモンイベリコ・デ・ベジョータ(もも肉)スライスをいただきながら、 社長の音成さんにお話を伺いました。
Q: まず無添加ハムを作り始めるに至った経緯を教えてください。
A:

「1982年(昭和57年)くらいから自家生産豚を原料とする「本格手造りハム」の製造を開始しました。 養豚については、業界用語で血統増成(ケットウゾウセイ)ということ=上物の率を上げること=、それから 旨さを追求すること、に没頭しました。
その次の段階で「産直してきちんと評価をしていただこう」「加工品で付加価値を付けていこう」 ということになりハム・ソーセージなどの加工も始めたわけです。その頃の 学校給食の背景として、添加物だらけのハムがたくさんだされていました。関西でママさん達の反対運動 が起きて 'おいしくて安全なもの'が求められ始めた時代です。 1993年から乳酸菌を利用した無添加 ハム創りの研究開発を始めて1996年9月から販売が開始できました。約3年かかった訳ですね。

その3年の間、最もよい匂いの乳酸菌を探したり、塩漬(エンセキ)条件を検討したり、安全性を確認したり、 試食を繰り返したりと何度も納得のいく最高のものを追究してきました。
スモークボンレスハムの色を見て頂くと判って頂けると思いますが、 亜硝酸塩(肉をピンクにする発色剤及び防腐剤)を使わなかったのにピンク色に発色した訳です。 また従来の肉臭さも消えたことには我々も驚きました。

私どもは'自然との共生'ということをコンセプトに物づくりをしているのですが、有効微生物を活用した発 酵食品作り、と言ってもいいでしょう。
現在では食品クズやカスを良質飼料にする、ということを助成金を元に大学とのコラボレーションで実現させました。
Q:

、といいますと現在は販売だけではなくそちらの研究成果もビジネスになっているのでしょうか?
A:

現在大きく3つの事業をしております。1つ目は「加工・生肉販売事業」。2つ目は「イベリコ豚の生 ハムスペイン産直事業」。これは1年半の検証を得て2005年の10月から日本輸入販売代理店としてス タートしました。3つ目が「環境事業」。ここの豚舎の臭いがまったくしないのは発酵分解微生物が畜糞の 臭いを消してくれているからですが、乳酸菌発酵を利用した環境によい事業として今後さらに発展させた い事業です。

環境事業の事をもう少しご説明させて頂くと、ここの豚舎は通常コンクリート豚舎なら10頭飼えるところを6頭くらいにしています。(コンクリートは使って いない) ハムが熟成するのも微生物のおか げですが、我々豚舎を持っているところが糞尿の臭いを外に出さないようにするには、この微生物を使え ないだろうか、ということにつながりました。

自社開発したBN21という消臭・発酵活性液をおがくずに散 布するだけで、後は時間が経てば自然に有機酸類やミネラル類が豊富な優良堆肥を作り出してくれる優 れものです。また、牛1kgでは7kgの穀物が必要、豚1kgでは3kgの穀物が必要と言われます。
このエ サ代は一般消費者に直接コスト高となって跳ね返りますから、なんとか食品残渣を使って安く安全なエサ を開発したい、ということでバイオを使ったわけです。つまり発酵飼料ですね。 通常は残飯を食べた養豚 はおいしくありません。

またその養豚で作った無添加ハムもおいしくはないんです。 これをどう美味しくできるか、ということを2000年度から日本大学・生物資源学部・相模女子大学他との共同研究プロジェク トとしてずっと続けてきまして、現在では乳酸菌発酵のおかげでその過程でエサの嗜好性が高まって栄養 の吸収も高まったものが完成しました。

湘南ぴゅあでは食品残渣100%でエサのコストダウンというだけ ではなく、DHA、たんぱく質、カルシウムなどの成分含量も日本飼養標準の要求量にあうように研究開発 されています。エサの原料は全国どこでも安定的に手に入る野菜クズ、パンクズ、米飯類、魚アラの4つを 柱に、雑残飯・調理クズを加えたもので、それを乳酸菌によって発酵させてエサにします。


ぶたさんが食べて排泄したものはまた循環リサイクルされます。 目の前でおしっこしているその土なのこれがまったく臭いがないので不思議です。 加工現場。ソーセージを詰めてます。
Q:

乳酸菌=ヨーグルト、くらいの知識しかないんですが・・・。
A:

なるほど、そうですよね。 乳酸菌にもいろいろありまして、なんでもいいか、というとそうではありま せん。無添加ハムをつくるときに塩や調味料の配合された'ピックル液' という調味液に漬け込む訳です が(この工程が塩漬)、このピックル液のなかによくみかける2種類の乳酸菌を見つけました。
この2種類のうち「ラクトバチルス・サケイ」という名前の乳酸菌がハムによい影響を与えることが発見できました。 名前がサケイ、となっていますがこの菌は日本酒を造るとき酵母が働き出す前に雑菌をやっつけて酒造りを成功させる乳酸菌なのです。
お酒だけでなく無添加ハムにとっても大切な乳酸菌だった訳です。

Q: 無添加ハムについてお聞きしたいんですが、スーパーでは無添加ハムがあったとしても価格もまちま ちです。なにか基準があるんでしょうか?
それから安部司さんの「食品の裏側」の本の中で、'練り物・ハム・ソーセージは添加物だらけである'と書いてあります。 ハムと添加物の事についてもその事情を教えて頂けませんか?
A:

ハム業界では「発色剤の入っていないものはハムではない」とさえ言われています。
発色剤の正体は「亜硝酸塩」というものですが、これは肉色を美しく固定し、抗菌作用があって 独特の風味もだせるものです。ボツリヌス菌などによる食中毒を防ぐための保存料として使われてきました。 (外国では保存料「防腐剤」としてつかわれていますが、日本では発色剤として使われています) この亜硝酸塩というのは みなさん詳しくご存じないと思うのですが少量でも危険な劇物の指定を受けている物質なのです。急性中 毒の他、遺伝子損傷、染色体異常、また第二級アミン(畜肉、魚肉等に含まれる)と反応して発ガン物質を 生成します。こういうものが当たり前にハム・ソーセージには使われています。

こういったことが判ってきて無添加ハムが生まれましたが、まだ20年も経っていません。 無添加ハムの生まれた経緯は前述の理由から「まずは安全なもの」でした。 従って美味しさ、というのは二の次だったわけですが、我々としてはそれでは商売にはなりませんから、 まず安全ありきで、その次に発色剤を使わない部分でどうやって味の穴を埋め、さらに発色剤入りのもの より美味しいものを作るにはどうしたらいいか、という使命に燃えてきたわけです。 私どもは以下4箇条を基本に研究を重ねていこうと思っています。
1:

国内産のフレッシュの豚肉を使う。
ひゅあハム、では中ヨーク交配種のフレッシュの豚肉を使っています。 国内産でも価格の安い時期に買いだめし、冷凍することで原料肉コストを下げることも可能ですが 冷凍することで肉の保水力が失われて無添加では美味しいものをつくることが困難です。
2:

長期の塩漬け熟成ぴゅあハムでは2週間以上塩漬けしています。
こうすることで豚肉が熟成し、無添加でもうまみの 素であるアミノ酸が増え、キレのある濃いうま味のハムになります。
3:

炭火を使った直火式燻煙機によるスモーク
ひゅあハムでは15時間以上、炭火による乾燥スモークを行っています。 こうすることで炭火の無理のないゆっくりとした乾燥や自然な遠赤外線の効果が得られ、 桜のチップによるしっかりとしたスモークをすることで無添加でも適度な発色と保存性が付与されます。
4:

増量剤を使わない
乳タンパク質、大豆タンパク質、でんぷんなどの増量剤を使わないことで、肉が本来持っている肉の旨さと加工することによって出てくる肉の旨さ、 つまり肉自体の旨さを引き出すことが可能と考えています。



消毒・殺菌を得て加工現場内へ。 パックされ出荷されるお肉達。
このパックも生分解性にしていくとか。 ポークがスモーク中。お・い・し・そ
Q:

やはり消費者がきちんとラベルを見て判断して買う、という事は大切ですね。
このメーカーの物なら CM たくさんやっていて大手だから安全、というのは全く間違った見解だということが、亜硝酸塩の事でもわかりました。「安い物には訳がある」 ということを肝に銘じて買い物します(笑)。

次にこのおいしい、やめられない、止まらない生ハムについて。
2002年BioFach(ニュルンベルグ) で最優秀賞に輝いたオーガニック生ハムの最高峰、 スペイン・アンダルシアの「ハモン・イベリコ・デ・ ベジョータ」の販売を日本で唯一始められましたがそのお話をお聞かせ下さい。
なぜこんなにおいしく て、値段も高いのか?等。イベリコって黒豚のことですよね?
A:

は い、イベリコ豚=黒豚です。ハモン(もも肉)・イベリコ(黒豚)・ベジョータ(ドングリ)、というわけ です。ドングリを食べて育つイベリコ豚の脂肪は、心臓病の予防効果があるオレイン酸などの不飽和脂 肪酸を多く含み、オリーブオイルと同じような質であることから'四本足のオリーブ' と呼ばれ豚肉自体が とても貴重で世界的にも高い評価をうけているのです。

不飽和脂肪酸は血液の流れを良くして、善玉コ レステロール値をアップし、老化を防ぎ動脈硬化や脳卒中、心臓病などの成人病を防ぐ役割をもっています。とても体によい生ハムですよね。2004年の2月 にBiofachでスペインの生産者と出会って1.5年か かりましたが昨年10月から販売がスタートできました。
出会ったときには「日本では決して生産できない 味」という強い印象で、何よりもオーガニック農業経営に対する理念と地球環境保護に対する考え方に賛 同致しました。私どもは日本での豚飼育者及びオーガニック肉加工製品生産者としてハモン・イベリコの 製法と品質について厳しく吟味しまた生産者と幾度となくディスカッションを重ねました。

生産過程を すべてオープンにして、生産哲学・過程についての情報を的確に顧客に伝えることでお客様からの信頼も 得られる物だと確信しています。


ハモンを台にセットしてスライス カットされている途中でのどが鳴る! ? お店でこのボリュームだと
¥6000前後でしょう。


なぜ高いのか?を説明しましょうか。100g で6800円する生ハムです。従ってそのバックグラウンドがお解り頂けないと納得してご購入頂けない物と思います。
まずハモン・イベリコ・デ・ベジョータは、ハモン・イベリコ全体のわずか2%程度しかできません。
それから2ヘクタールに1頭、というストレスのないアン ダルシアの環境でドングリを食べながら2年で150kgになります。次にハムの熟成になんと3年(36ヶ月) かけて加工しています。つまり生ハム完成まで5年かかっています。通常熟成には18ヶ月~23ヶ月が限 界といわれていてそれを超えると腐敗してしまいます。

パルマハムで有名なイタリアでさえ36ヶ月熟成は 達成されていません。2ヘクタールに1頭、といいましたがドイツの基準では1.5ヘクタールに1頭です。 とても贅沢な環境で育っているわけです。また年間に350頭、ハモンにすると700本しか1年に輸入がで きないのです。オーガニック認証工場で加工されているわけですが生産量が限られているわけです。


ありがとうございました。
これからも安全・安心そしておいしいお肉とハム・ソーセージをどんどん消費者 に販売していって下さい。
さらに本物の無添加ハムが広がることを祈念しています


これがイベリコ豚。ドングリを食べています。 お昼にごちそうになったポークのいためもの。塩分ほど良くおいしかった。 集合写真。

■プレゼント!

湘南ぴゅあ様からLohas-Worldメンバー限定3名で、
3000円相当のスターターセットをご用意頂きましたので皆様にプレゼントさせて頂きます!!

セットには以下が各1パック入っています。
・ ロースハム(スライス)
・ベーコン(スライス)
・焼豚(スライス)
・ウィンナーソーセージ
・マイルドサラミソーセージ
・ 荒挽きウィンナーソーセージ 

■お申し込み方法

*LW会員登録のまだの方はこちらからこちらから会員登録をしてからご応募お願いいたします。

お申込は
・お名前
・連絡先(メール、お電話番号)
・住所
・今回の記事の感想
を添えて、 info@lohas-world.com までメールをお願いいたします。締め切りは、6月11日(日)です。
ご当選結果はこちらからのご連絡をもって発表に代えさせていただきます。
皆様のご応募お待ちしております。



<取材後記>

玄米食である自分はあまり肉を食べません。でも食べるのならポーク、ジンギスカン、チキン。
今回は安全無添加のポークと出会えて幸せでした。なぜならいつもスーパーでハムを買えずにいたからです。 理由はその裏側ラベルに書いてある恐ろしいまでの意味不明なカタカナ添加物のせい。でもこうやって湘南 ぴゅあさんが20年も前から安全な無添加ハムの研究開発を重ねていま販売できていることに、一消費者としてとてもうれしく思います。
(高価なのに)イベリコ豚スライスを頂きありがとうございました。お昼に 頂いたポークも、青森のビーフも、野菜もどれもおいしかったです。実は偶然わたしもBiofachでこのイベ リコスライスを食べていました。「なんておいしいんだろう、パルマよりおいしい!これ日本に入ってこない かなあ」と思っていたのでした。
1人でも多くの親が子供に安全なハム、ソーセージを食べさせてあげられるよう、ますますのご発展をお願いします。



■INFO

株式会社湘南ぴゅあ

住所:〒259-1212 神奈川県平塚市岡崎1624

電話: 0463 58 7767 (代表)

web:http://www.pureham.com

■取材した人:秋元一宏・犬飼俊介
■取材された人: 音成洋司氏、吉田豊氏"


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