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2009年1月4日日曜日

ヤギ飼いコシヒカリ 最先端の米作り

【’09新年企画】自然と生きる in 朝日新聞 福井
【自然と生きる】


ヤギ飼いコシヒカリ 最先端の米作り

岐阜との県境にあり、標高1464メートルの部子山を仰ぐ池田町。足羽川沿いのビニールハウスに足を踏み入れると、メェ~、メェ~と声をあげながらヤギが寄ってくる。その数、28頭。約半数が子ヤギだ。

後藤浩明(46)一家が営む「ゴリファーム」の大切な“働き手”。ハウス内のヤギ舎の床に米のもみ殻を敷き、ヤギの糞による自家製の堆肥を作る。田植え前には放牧して草を食べさせ、堆肥を入れて耕す。田植え後は、あぜ道などの草を食べさせる。化学肥料は一切使わない。太陽の光で草が育ち、ヤギの餌になり堆肥となって米を育てる。クズ米はヤギの餌になる。

農薬は除草剤1回のみで、年間使用量は一般栽培の10分の1以下という。減農薬・無化学肥料のコシヒカリ「うメェー米」としてネット販売もする。ヤギの乳はヨーグルト、チーズに加工し販売する。

後藤は93年に脱サラして就農。最初は農薬・化学肥料を使った。子供に食べさせたいと無農薬野菜に取り組み、01年から米も減農薬・無化学肥料の特別栽培米にした。そこで、もっと自然に即した農業がしたいとの思いが増して、05年冬からヤギを飼い、翌年から堆肥を使うようになった。

妻の宝(46)は「ヤギを飼って一気に農業が楽しくなった。それまで工業と同じような気がしていたけど、農業が自然の循環の中にあると実感できた。自然と一体となって生きる農業本来の喜びをヤギが教えてくれた」と語る。



池田町では「生命に優しい米づくり」と名付け、町ぐるみで有機農業を進める。町内の畜産施設の牛糞と、住民が収集した家庭の生ごみなどを町の堆肥生産施設で有機堆肥にして、町内で使う。町独自の認証制度を設け、無農薬・無化学肥料米は「極」、減農薬・無化学肥料米は「匠」などと格付けする。

90年に農協青年部が減農薬・無化学肥料米を実験的に始めた。95年に農家などによる有機米生産研究会が立ち上がり、今や町内の約7割が特別栽培米の田になった。

有機農業は米の収量が一般栽培より少ないが、食の安全を重視する消費者に歓迎され、高値で取引される。農家が受け取る金額は「極」が1俵(60キロ)3万円以上。1俵2万4千円前後で取引される新潟・魚沼産コシヒカリにも負けない。

昨年8月、町や農家、米販売店などが共同で無農薬・減農薬の田で生物調査をしたところ、カエル、トンボ、クモが農薬使用の田より多く確認され、逆に害虫のカメムシは食べられてしまって少なかった。自然の生態系が機能していたのだ。池田町の田では夏、ホタルも見られるという。

多様な生物が生きられるように配慮した農業は、県内各地に広がっている。越前市の白山・坂口など県内5地区を中心に、冬でも田に水を張る「ふゆみずたんぼ」(冬季湛水水田)が採り入れられている。有機農法の一つで、イトミミズなどの活動を利用し除草剤を使わず雑草を抑制する。カエルや昆虫が田に戻り、餌を求めコウノトリ、コハクチョウなど水鳥も飛来しやすくなった。



環境に良い有機農業だが、手間がかかり、収量も低下するとあって、一般農家にはハードルが高い。そこで、県農業試験場は次年度から、一般農家でもできる減農薬、減化学肥料農法の研究を予定する。米ぬか散布で雑草の発芽を防ぐ工夫や、レンゲなどの植物を使った緑肥による土壌改良などを検討する。

自然と共に営む農業は、地球環境の変化の影響を直接受ける。人間が生きる上で生態系からの恵みは欠かせない。来年10月、名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議を支えるNGO生物多様性フォーラム理事の原野好正(48)は「自然農法をやると昔は変わり者と言われたが、今になってみればそれが最先端の農業だった」という。

97年に京都で「気候変動枠組み条約」会議が開かれて、日本でも地球温暖化防止の機運が高まった。原野は生物の多様性の考え方も、名古屋会議を機に人々が生活の中へ採り入れてくれるようになることを願っている。=敬称略

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