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2009年4月17日金曜日

現代農業2001年3月号 小力技術で、経費はどのくらい下がるのか?

小力技術で、経費はどのくらい下がるのか?
in 現代農業2001年3月号
 "半不耕起で、いったいいくら下がるか?
――岩手県藤沢町・千葉政治さんの場合

 田んぼを耕耘・代かきするのに、表層だけをできるだけ浅く、3~5cm程度の深さに耕すやり方を、本誌では「半不耕起栽培」と呼んでいる。半不耕起は、自然の力をうまく生かして、人間はラクに、作物はよくなる「小力技術」の代表格だ。だけど、これの経費計算は、ちょっと難しそう……。

 半不耕起には、草を抑える「トロトロ層」(2000年5月号参照)をつくる目的で、耕耘に加えて代かきを丁寧にやるやり方もあるが、岩手県の千葉政治さんの場合は、代かき用のドライブハローで一回耕すだけ。千葉さんに協力してもらって、半不耕起の経費節減効果 を聞いてみた。以下は千葉さんのお話――。
ワラや草が飛び出しているくらいに半不耕起

 1枚3反の田んぼをドライブハローで半不耕起する時間は30分ちょっとですむ。私は、半不耕起でトロトロ層をつくろうとは考えていないので、ハローの爪をとくに高速で回そうとは思わない。それよりも、切りワラや刈り株やスズメノテッポウなどの草を完全に埋没させないことがいちばんだね。

  湿田ぎみなので、いきなりハローで耕す方法には向いているが、透水性が良くないために有機物が泥に埋没すると田んぼがわきやすい。浅く耕して表層に切りワラや草が集中したところに泥で完全にフタをされてしまうと、田植え後のイネの根にも影響が出る。ワラや草がピンピンと飛び出しているくらいがちょうどいいよ。ハローの爪でひっかいた表層の土がちょうど反転するくらい、切り株が逆さにひっくり返るくらいに浅く耕す。
時間4分の1、燃料代も4分の1

千葉さんの半不耕起は、刈りあとそのままの田んぼに水を張って、表面 の土や株がひっくり返る程度に浅耕するやり方

 近所の人に頼まれて耕耘・代かきを請け負う田んぼがある。3反区画の田んぼをふつうにやると、ロータリで耕耘するのに1時間、代かきを2回するのに30分ずつ、合計2時間くらいかかる。その点、半不耕起なら30分余りだから、4分の1の時間ですむことになる。半不耕起は、1日に2町分くらい耕してまわることも可能だ。それでもう田植えができる。

 時間も4分の1なら、燃料代だって4分の1くらいだろう。30l入るトラクタの燃料タンクをいっぱいにするとだいたい1日もつから、30lで2町を半不耕起できると考えてもいい。軽油代を1l80円とすれば、2町歩に2,400円ですむ。それをふつうに耕耘・代かきするなら4倍の9,600円。つまり一反当たりにすると、半不耕起なら360円燃料代が安くすみそうだ(かこみ3 半不耕起の燃料代節減効果 )。

 同じ面積を少ない時間でこなせるわけだから、トラクタも長持ちするだろう。わが家の22馬力のトラクタはかれこれ20年以上使っている。機械屋に追い回されて困るが、まだまだ使える。

 刈り株がそのまま残る田んぼにドライブハローをかけたらハローが傷むんじゃないかっていう人もいるらしいけど、私のところはそんなことはないね。うちの場合は、粘土質で、暗渠が効いてない湿田ぎみの田んぼだからってこともある。小石が混じった赤土の、カチカチに硬くなったような田んぼだと、確かにハローにかかる負担は大きいかもしれない。でも、たいていの田んぼは、1週間くらい前から水を張っておいて湛水した状態でやれば大丈夫じゃないか。うちの場合は3~4日前から湛水しておけば十分だ。
経費節減だけじゃない魅力

 まあ、燃料代だけなら、経費節減といってもたいしたことはないがね。でも半不耕起には他にもいろいろ利点がある。

 耕深が浅いと田植え機がラクに走るし、田んぼが乾くのも早いから遅くまで水を張っておける。すると、一昨年みたいな暑い年でも乳白米が出にくいから、米の品質も良くなる。一等米と二等米では、仮渡し金に一俵当たり800円の差だ。反収が同じ10俵でも、一反当たり8,000円の差がつくわけだ。経費節減じゃないけど、これも半不耕起の利点だね。

 それに、お金のこともあるけど、半不耕起や不耕起っていうのは、田んぼに生きものが増えるんだよね。そんな話をすると米のお客さんも喜ぶよ。

 不耕起はもちろん、半不耕起でもワラが表面にピンピン出ていると、そのワラをエサにサヤミドロという繊維質の藻が水面 に広がる。藻は光合成で酸素を出すから、イネの根を根腐れから守る。透水性の良くない田んぼではなおさらだ。そして、ミジンコに始まって、ヤゴやゲンゴロウ、ドジョウやコオイムシがたくさん出てくる(1月号167頁)。田んぼからは、米が穫れるだけでなく楽しみもわいてくる。(談)"


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