Sao Paulo - Shimbun
農業活性化に取り組む農場を訪ねて②
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『循環型農業』の実践 東山農場目指す減農薬栽培
波のうねりのようなコーヒー園内をバスで通りながら、岩崎氏の説明に耳を傾ける。
それによると、コーヒー農園の標高は六百から七百メートルで、農場全体では二百九十ヘクタールの土地に百四十五万本が植えられているという。平均収量はヘクタールあたり三十五~四十俵で、二トン強。五月中旬から八月頃まで、完熟した実を収穫するそうだ。
収穫は、JACTO(西村俊治代表)が世界で最初につくり、「一台で百人分の仕事をする」(岩崎氏)コーヒー収穫機も使用するが、半分は労働者による手摘みで行なわれている。
農場内でひときわ高い場所にある展望台へと案内してもらった。同所からはコーヒー園が一望でき、街道の向こうには「百万人都市」と言われるカンピーナス市のビル郡も見える。また、幹線道路を隔てたところには、一九三四年に日本から進出した日本酒「東麒麟」と醤油の工場がある。
さらに、同所から約五十キロの距離にビラ・コッポス空港があり、最近では付近に「新幹線」を通す計画があることを岩崎氏が説明してくれた。
展望台の屋根の内側部分には、三菱の商標を模して木組みがなされており、屋根を支える板の部分には一九三二年の「護憲革命」当時の流れ弾だという傷跡が残っていた。
東山農場では「循環型農業」を実践しており、コーヒーの皮の部分を牛糞やバガス(サトウキビの絞りカス)などと混ぜて、年間一千トンの堆肥を生産。コーヒーの肥料として使用している。
「完全な無農薬は無理ですが、減農薬を目指しており、プチトマト生産もその一環です」と岩崎氏。近年の温暖化現象の影響で「(コーヒーの)豆が以前より小さくなっている」とし、例年の収穫期が五月中旬から八月頃まで行なわれる中、「昨年は九月いっぱいまで収穫し、収穫中にも花が咲いているものもあった」などとし、環境の変化も実感しているようだ。
コーヒーは特上の「モーレ」を日本への輸出用として回し、「ドゥーロ」などの粗悪品は伯国内に出荷しているという。
コーヒー園を後にし、一行は育苗場や農場内に植えられている各種植物などを見学。農場長だった故・山本喜誉司氏が一九三二年に日本に一時帰国した際に持ってきたという大きな竹とライチ(リシア)や、サンパウロの移民史料館に展示スペースが無いために預かっている、一九一三年当時のトラクターなども置かれていた。
農場内をひとまわりして帰ってくると、塚本さんたちスタッフが軽食と飲み物を用意して待っていてくれた。
昼食の試飲用にと「東麒麟」「純米酒」の二本を持たせてもらい、一行は午前十一時半農場を後にした。(つづく・松本浩治記者)
2009年2月10日付
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