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2009年2月1日日曜日

伝統野菜/地産地消盛り立てよう

伝統野菜/地産地消盛り立てよう
in 日本農業新聞 - 論説 記事: "
掲載日:2009-1-27 11:55:00

伝統野菜を見直す動きが各地で盛んだ。消えかけた品目に光を当てて地元直売所などで紹介したり、行政やJAが認定制度を設けて広域流通させたりと、取り組みは多彩だ。地域の食文化とつながりが深いため、食農教育にも役立つ。伝統野菜の復活・普及で地産地消を盛り立てよう。

伝統野菜は郷土野菜、在来種などとも呼ばれる。府県や市などが、栽培を始めた時代など一定の基準を設け、認定する例が徐々に増えている。認定制度に至らないまでも、行政や民間団体が代表的な品目を選んで紹介している。生産の励みになる取り組みだろう。

認定制度で先駆的な存在は京野菜だ。地元はもちろん、首都圏でコーナーを設ける店舗では「京みず菜」「九条ねぎ」などが定番商品に育ち固定客をつかんでいる。加賀野菜、なにわの伝統野菜なども知名度を高める。都内のあるレストランは昨年秋、期間限定で初めて「加賀野菜のサラダ」を提供し好評だった。サツマイモ「五郎島金時」「源助だいこん」など地域性豊かな食材で他店にない味を提供しようと、料理人の創作意欲がかき立てられたという。

これらは確かな地元消費を土台に、大消費地で販路を広げている例だ。一方、地元でも出回りが限られるようになった品目を再発見し、地元で食べてもらうことから踏み出す試みも数多い。

カナカブは秋田県の由利地域に伝わってきた。カノカブとも呼ばれる。「火野(かの)」は焼き畑の意味だ。カナカブで焼き畑文化を守ろうと、地域の消費者と連携して活動してきた組織の代表者は、「古代からの農法を通じて、命、農業の原点を考えたい」と話していた。自家消費が多かったが、最近は県の事業も追い風になり、地域の各直売所で漬物が人気商品に育った。食文化や伝統農法が伝承される意義は大きい。

日本有機農業研究会の全国大会では、種苗交換会が恒例の行事だ。会員農家らが持ち寄る在来種の野菜や穀類を多くの参加者が求め、関心の高さがうかがえる。同会は種苗交換会のほかにも、在来種をデータベース化して会員に頒布している。各地に伝わる在来種の見直しや、種の保存に役立つ活動と言えよう。

2月3日には農水省北陸農政局が「伝統野菜サミット~伝統野菜が地球を救う!」を金沢市で開く。地元石川県の加賀野菜、能登野菜をはじめ全国の関係者とネットワーク化を目指す。フードマイレージ(食料の輸送に伴う環境負荷の大きさを把握する指標)を用いて評価する報告もある。地産地消に軸足を置く伝統野菜の振興は、環境にも優しい農業生産であることが再認識されるはずだ。

もちろん、地域以外への販路拡大にも意義がある。消費の掘り起こしで生産に弾みがつけば、伝承が確かなものになる。


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